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インフラ系ITエンジニアのメモ帳です。

日経コンピュータ2013年5月2日号「ビッグデータは99%失敗する」を読んで

日経コンピュータ2013年5月2日号  p.137 「ビッグデータは99%失敗する」を読んでの感想。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130508/475341/?top_tl1

挑発的な内容ですが、非常に納得できる記事でした。

ビッグデータという言葉が先行していて、重要なキーワードになっていますが、どうも言葉だけが踊っているような印象をずっと持っていました。

ビッグデータというと、よく3V(Volume、Variety、Velocity)がキーワードとして挙げられます。なんとなくお宝ざっくざくなイメージを受けるのですが、この中にどれほどの価値が詰まっているのか。ハーバードビジネスレビューのビッグデータの回でも見かけたのですが、ビッグデータは価値の密度が低い。なので、単純にデータの大きさに比例して価値が上がっていく世界ではなく、しかも密度が低い中から勝ちパターンにつながるような因果関係を見つけるのは実に難しい。

また、ビッグデータの解析は所詮、情報戦略のコンポーネントの一つに過ぎません。なので、情報戦略という幹の部分がしっかりしていないとだめで、どういう意思決定をしていきたいのか、そのためにどういうデータを蓄積する必要があるか、そしてそれをどう分析し仮説をたてストーリーを作っていくかといった、経営レベルでのライフサイクルをしっかり考えて、体制を整えていないと、ろくな成果は出ないと思っています。少なくともビッグではない従来のシステムで成果が出ないうちは、ビッグデータに手を出しても大した投資対効果は出ないと考えるのが自然です。もちろんAmazonなどの事例のように有効に活用できれば素晴らしいですが、果たしてそれが出来るかどうか。

黎明期でシェアが伸びている技術は、成功事例だけがピックアップされがちな感じがするのですが、失敗事例はどれくらいなのか、成功している割合は全体のどれくらいなのか、失敗から得られる教訓はどんなことがあるかも情報を収集したいところですね。感覚論ですが成功事例に対する失敗事例の伝達速度が遅い気がしています。

私は技術者なのでビッグデータはとても面白い題材だと感じていますが、ユーザ視点から見るとネガティブに見てしまいますね。