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インフラ系ITエンジニアのメモ帳です。

書籍レビュー『すべてわかる仮想化大全2013』

仮想化大全2013読了。ついでに2009と読み比べてみました。

仮想化大全2009の発行は今から4年くらい前ですが、内容は今となっては随分と古いものに感じられました。VMware Infrastructure のバージョンは V3.5, VMotion もまだ Enterprise 版のみ、update Manager もまだ実験的なサポートの段階。当時はまだ普及期まで至っていない状況で、本の内容もサーバ仮想化、クライアント仮想化がメイン。

これが2013年になり、サーバ仮想化はもはや当たり前、プライベートクラウド作成、管理を支援するソフトもだいぶ充実してきた印象です。OpenStack による IaaS 構築の記事が好印象でした。各コンポーネントの説明だけでなく、内部での動作原理、設定ファイルの書き方や投入するコマンドも例が多く、個人的にはかなり楽しめる内容。

また、近年はSDN(software defined network) が注目度を浴びていて、本屋でも OpenFlow の文字が表紙に書かれた書籍、雑誌を多く見かけるようになりました。本書でも 1 章分を割いていますが、まだ黎明期なのか、あるいは経営よりの人をメインターゲットにしているためか、技術面では表面的な内容にとどまっている印象です。最近、日経 NW で OpenFlow の連載をしているので、そちらを見てくださいって事かもしれないです。OpenFlowはVLANタグ数の問題や、帯域の有効活用につながる点などインパクトが大きいですが、どのくらいの勢いで伸びていくのかは、未知数の段階。ところで、Data Center 間トラフィックを OpenFlow でさばいている Google の発表事例(「Open Networking Summit 2012」にて)が一切触れられていない気がしますが、気のせいでしょうか。これも、インパクトが大きいのに。

ハイパーバイザーは、vSphere 5.1 は順調に正当な進化を続けている印象、MicroSoft は Microsoft System Center 2012 Virtual Machine Manager が面白いと感じました。本に書いてある通りなら、簡単にプライベートを作れて管理できそうですが、実際に触ってみないと何とも言えないところ。Azure との連携がスムーズにできるようになると、シェアを伸ばしてきそうな感じはします。

クラウドにおいては、性能面でストレージが超重要になりそうですが、各社ストレージ製品がいろいろ賢い機能を持っているなと感じました。ストレージ階層化でよくアクセスするデータをSSDにおいたり、QoS 機能を持っているのがありがたい。SSDはますます重要になりそうですし、ここに高速な相変化メモリや磁気メモリが普及してくるとどうなるのかに注目しています。

私は、インフラへの興味を強く持っているので、全体を通して楽しく読めた一冊でした。